亜鉛のおすすめサプリ、症状別で紹介!効果や成分・副作用、メリット・デメリットから徹底比較【専門家監修】
亜鉛は、13種類ある必須ミネラルの中でもトップクラスに重要なミネラルと言われています。そんな亜鉛ですが、普段の食生活から必要な量を摂取するのは難しいと言われている一方で、過剰摂取による副作用が見られることもあります。亜鉛の様々な効果や副作用、そして正しい摂取方法などについて、今回は徹底的に解説していきます。
亜鉛とは
亜鉛は、人間が生命活動を行う上で必要不可欠な、必須ミネラルの一種であり、元素記号はZnで表されます。身体中には2g(2,000mg)程度含まれており、体内の酵素の機能維持に必須であるほか、その機能は多岐に渡っています。
厚生労働省、栄養機能食品制度に基づいて、食品中の亜鉛の含有量が一定の範囲に収まっている場合に
亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。
亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
といった表記を許可しています。
亜鉛は体内で摂取することはできないため、基本的には食事かサプリメントから摂取することになります。食品としては、牡蠣、チーズ、豚レバー、牛肉、卵、納豆などに多く含まれています。
亜鉛に期待される効果8選
亜鉛に期待される効果を検索すると様々な情報がヒットする一方で、それらの情報の大半には引用元が記載されていません。実は、これらの情報には誤ったものも数多く含まれています。また、一時期話題となった「カルシウム不足の子供はキレやすい」など、エビデンスの不足した効果効能が広く知れ渡ってしまっている現状もあります。よって今回は、一定レベル以上の論文誌に掲載された査読付き論文のみを掲載します。
1. 男性機能の維持
亜鉛を摂取すると、男性機能が向上し、精液の量が増加することが伝承的に知られています。人気AV男優であるしみけん氏も、自身のブログで
毎日トマト、納豆、コーヒー4杯以上、亜鉛90mg(成人一般男性の約7倍の摂取量)は摂取するように心がけてます。(引用:★AV男優的からだの作り方★ | AV男優しみけんの××~ペケペケ~ブログ)
と綴っている通り、亜鉛を男性機能維持のために非常に重要な栄養素として位置付けていることが伺えます。
また、ドラッグストアなどで販売されている滋養強壮ドリンク剤の原材料を見てみても、亜鉛が含まれているものが数多く存在しています。そして、亜鉛の摂取量と男性機能の関係性は、実は古くからの研究結果に基づいているものなのです。
メカニズム:亜鉛はテストステロンの分泌を助ける
そもそも、男性機能には「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンが密接に関わっています。このホルモンの分泌によって、男性的な身体的特徴が現れたり、積極性が増したりといった変化が起こります。思春期に起こる精巣容量の増大、陰毛の発生、そして陰茎の増大といった現象は、すべてこのテストステロンが密接に関わっているのです。
またこのテストステロンは、不足すると性機能不全を引き起こすリスクが高まります。一例として、近年注目されている男性更年期障害というものがあります。この表現は俗称であり、正式名称は加齢男性性腺機能低下症(PADAM、LOH症候群)ですが、これもテストステロン不足によって起こります。具体的には、性的欲求の低下、勃起能の質と頻度の低下といったものから、うつ病と類似した抑うつ症状、インスリン感受性の低下による糖尿病リスクの増大まで、広範に渡る問題を引き起こすのです。
ここまではテストステロンの解説でしたが、ここからは亜鉛とテストステロンの関係性についてです。体内で亜鉛が不足することにより、テストステロンの生産量も減少してしまうことが近年の研究で明らかになってきたのです。
まず、1996年の時点で論文が出ています。この臨床試験では、合計13人の健康な被験者に対して亜鉛の摂取量を制限した結果、血漿中テストステロン値が下がったという結果が明らかになったのです。これはより高齢であった被験者に顕著にあらわれており、その後に亜鉛摂取量を増加させた結果、テストステロン値が倍近くまで上昇したことも示されていました。この論文は、亜鉛とテストステロン値の非常に強い相関性を示す論文として、様々な研究に引用されています。
またこちらはラットを用いた実験ではありますが、亜鉛摂取量と性機能の相関関係を調査する論文が発表されました。この結果、1日5mgの亜鉛を投与された群は、プラセボ(偽薬)群と比較して良好な性機能を示すという結果が示されました。これはラットの実験ですが、ヒトを用いた臨床試験を行う前は基本的にラットで効果・毒性の前臨床試験を行います(ヒトへの外挿可能性が高い)。
よって、亜鉛不足がテストステロン値の減少を招き、結果として性機能の減退に繋がると考えられます。亜鉛摂取量と男性機能に関しては、supplee編集部のメンバーでの簡易的な臨床試験の実施を検討しておりますので、乞うご期待ください。
2. 抑うつ症状の軽減
先述した通りですが、亜鉛の摂取量とテストステロンの分泌量には一定の相関が示されています。そして、テストステロンの欠乏が引き起こす症状の1つが、うつ病です。
1994年にケース・ウェスタン・リザーブ大学で行われた、双極性うつ病患者48人と健常者32人を比較した臨床試験において、亜鉛の血中量とうつ病罹患の有無には明確な相関関係が認められました。
この亜鉛、テストステロン、そしてうつ病の密接な関係性を理解するためには、まず「セロトニン仮説」という概念の説明から始めなければいけません。
セロトニン仮説とは
現代のうつ病治療は、セロトニン仮説と呼ばれる考え方をベースに投薬治療を行います。これは、うつ病患者においてセロトニンが体内で変換された物質である5-HIAAという物質の低下が見られることや、セロトニンの前駆物質(セロトニンが体内で変換される形)であるトリプトファンをモノアミン酸化酵素阻害剤に併用すると抗うつ作用が増強することから、セロトニンの総量を増やすことによってうつ病を治療することができるという仮説です。この仮説に基づいた選択的セロトニン再取り込み阻害剤と呼ばれるカテゴリの薬(レクサプロ、パキシルなど)は、うつ病治療薬としては最も人気がある
種類の薬です。(参考文献:モノアミン仮説 - 脳科学辞典)
そして、このセロトニンを正しく分泌するためには、その材料となるトリプトファンを十分な量摂取する必要があります。トリプトファンはアミノ酸の一種でありたんぱく質から作られるため、摂取したたんぱく質をちゃんとトリプトファンに変換する必要があり、そのためには十分な量の胃酸が必要です。
そして胃酸の分泌には亜鉛が欠かせません。胃酸は炭酸脱水酵素によって作られるのですが、この炭酸脱水酵素は亜鉛によって機能するため、亜鉛がなければ胃酸を作ることができず、トリプトファンが生成されないのです。その結果としてセロトニン不足が起こり、うつ病を発症しているという考え方です。
よってセロトニン仮説に従えば、亜鉛の欠乏はうつ病を招くと言えるでしょう。
3. 味覚・嗅覚の維持
2003年の調査で、味覚障害を持つ人の人数は国内でのべ24万人にも及ぶというデータが存在しています。また、これは過去の調査結果から大幅に上昇しており、今現在も人数は増加していることが推測されます。そして、この味覚障害の最も大きな理由として挙げられるのが、亜鉛不足なのです。
人間が味を感じるのは、舌の上にある味蕾(みらい)という部分です。味蕾が多ければ多いほど味を繊細に感じることが出来ると言われています。一般的に、大人と比較して子供の方が辛いものが苦手だと言われていますが、この理由は子供の方が大人よりも味蕾(みらい)の絶対数が多く、よって味覚が繊細なことに由来するものです。そして、味蕾(みらい)の数は年齢と共に数が減少していきます。つまり、味覚は歳を取るにつれて衰えているのです。
この味蕾(みらい)の減少を食い止めることができるのが、亜鉛です。味蕾(みらい)は新陳代謝のサイクルが非常に短く、死んでは生まれ変わるを繰り返しています。具体的には、1ヶ月ごとに1回生まれ変わっていると言われているほどです。このサイクルに亜鉛が密接に関わっているため、亜鉛不足の状態が続くと味蕾の絶対数が減少してしまい、結果として味覚障害と診断されるレベルにまで味蕾の絶対数が減少していまうということです。加えて、体内の亜鉛が不足すると最初に影響を受けるのがこの味細胞だと言われています。
より詳細な情報については、ノーベルファーマ株式会社が提供している亜鉛情報サイト「低亜鉛.jp」に詳しく書かれているのでこちらをご参照ください。
4. 皮膚・髪の毛・爪の健康を保つ
亜鉛不足を見分ける方法としてよく知られているのが、「爪に白い斑点があったら亜鉛不足」というものです。これは伝承的な情報であり、爪に斑点があるから亜鉛不足だと断定することはできませんが、それでも亜鉛は爪などの組織を作るうえで欠かせない栄養素です。
皮膚、髪の毛、爪といった組織は全てたんぱく質によって作られています。そして、こういった組織を形成する際に、必要な酵素の働きを補助するのが亜鉛なのです。
論文ベースでは、亜鉛の摂取はにきびの治療に高い効果が期待されているようです。1日に138mgの亜鉛を6ヶ月間に渡って摂取した結果、プラセボ群と比較して(独自の検査指標では)にきびの症状が1/3となり、この差異は統計的に有意だったとあります。 また、髪の毛に関しても爪の健康に関しても、それぞれ論文が複数発表されています。
5. 免疫力を高める
免疫力を高めるための1つのアプローチとして、活性酸素を取り除くことが有効だとされています。抗酸化作用の強い物質としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類などが知られています。また、
亜鉛風邪の症状が出てから24時間以内に亜鉛サプリメントを摂取すると、風邪の諸症状が収まるまでの期間が短縮されたとのことです。これは、有力誌の全米病院ランキングで常に上位をキープしているクリニック「メイヨークリニック」の情報誌に掲載されていました。
また、50人の健康な高齢者(55〜87歳、亜鉛摂取量が少なめ)に対して亜鉛1日あたり45mgを1年間投与し続けた結果、亜鉛摂取群はプラセボ群と比較して有意に炎症マーカーが低かったとありました。
亜鉛の目安摂取量は?
様々な効果が期待できる亜鉛ですが、どの程度の量を摂取したら良いのでしょうか?厚生労働省が2015年に発表した日本人の食事摂取基準(リンク先pdfファイル)によれば、男性の推定平均必要量は8mg、推奨量は10mg、耐容上限量は40〜45mg。女性の推定平均必要量は6mg、推奨量は8mg、耐容上限量は35mgとなっています。聞き慣れない言葉だとは思いますが、平均推定必要量は
特定の集団を対象として測定された必要量から、性・年齢階級別に日本人の必要量の平均値を推定した。当該性・年齢階級に属する人々の50%が必要量を満たすと推定される1日の摂取量
推奨量は
ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
耐容上限量とは
ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量
と定められています。
平成28年に行われた国民健康栄養調査によると、亜鉛の平均1日摂取量は男性で8.8mg、女性で7.3mgとありました。推奨量と照らし合わせると、男女ともに亜鉛が10%程度不足している計算になります。(参考:厚生労働省 国民健康・栄養調査結果の概要)
一方で、海外で行われた臨床試験においては1日に200mg〜500mgを摂取することで特定の効果を発揮したという論文も複数出ており、よって耐容上限量35mgをオーバーしたからと言って問題が起こるとは限らないことも認識しておく必要があるでしょう。
おすすめの亜鉛サプリ+機能別の飲み合わせ紹介
21st Century, 亜鉛, 50 mg, 110錠 - iHerb.com
こちらのサプリメントをオススメします。含有量は50mgと厚労省が定める耐容上限量である35mgを40%程度オーバーしていますが、50mg程度ではほぼ被害が出ていないのが現状であり、なおかつ有名メーカーから商品化されていることからさほど気にしなくて良いように思います。もし不安のある方は、
Nature's Way, 亜鉛キレート、30 mg、カプセル100 錠 - iHerb.com
あたりを選択すると良いでしょう(こちらは30mgです)。
女性の場合は、
Jarrow Formulas, ジンクバランス、100カプセル - iHerb.com
こちらが良いでしょう。こちらの配合量は15mgとなっていますが、男性と比較して女性の方が亜鉛の過剰摂取による副作用が発現しやすいことを考慮しています。
目的別、亜鉛+αで効果を得る方法
亜鉛単体で効果があることは説明した通りですが、上で解説した効果を得るためのサプリメントは当然亜鉛だけではありません。目的をもってサプリメントを利用する場合には、複数種類のサプリメントを利用することでより高い効果が期待できます。
1. 男性機能の維持の場合|亜鉛+アルギニン
Jarrow Formulas, アルギニン、1000 mg、100 錠 - iHerb.com
アルギニンは、陰茎の勃起の際に必須となる物質である一酸化窒素(NO)の分泌を助けるサプリメントです。日本で精力系サプリメントというと、マカが最も広く知られていますが、このマカは植物名で、マカの主成分も実はアルギニンなのです。
そもそも勃起メカニズムは、一酸化窒素の作用によってサイクリックGMPという物質が分泌され、この物質が血管を拡張することで陰茎内の海綿体を弛緩させ、最終的に海綿体への血液流入によって勃起が起きるのです。つまり、アルギニンは一酸化窒素の分泌をサポートすることにより、勃起が起こりやすい状態を作っているのです。(筋力トレーニングにおいて、アルギニンを摂取してトレーニングを行うことでパンプアップが得られやすくなるのもこれと同じ作用機序です。)
よって、アルギニンと亜鉛を組み合わせることによって、より高い効果が期待できるでしょう。
2. 抑うつ症状改善の場合|亜鉛+フィッシュオイル
抑うつ症状改善に対しては亜鉛とフィッシュオイルを組み合わせるのがお勧めです。
フィッシュオイルに含まれるオメガ3脂肪酸であるDHA/EPAですが、これらを摂取することで抑うつ症状を改善することが複数の論文によって示されています。こちらは複数の論文の結果を統合して効果を検証するメタアナリシスという手法を用いた論文ですが、こちらにおいても有意差が確認されたとのことです。
3. 味覚・嗅覚機能改善の場合|亜鉛+ビタミンB12(葉酸)
味覚や嗅覚機能を維持する目的で亜鉛を摂取する場合には、ビタミンB12(葉酸)と組み合わせて利用することでより高い効果が期待できます。
ビタミンB12は別名葉酸とも言われており、子供の神経管閉鎖障害を予防する効果があるため、妊娠する可能性のある女性に対して国が摂取を推奨している成分でもあります。海外では、神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、日々の食事から一定量を摂取する可能性の高い小麦粉に一定量の添加を義務づけている国もあるくらいです。
21st Century, 葉酸、800μg、180錠 - iHerb.com
ビタミンB12はDNAの合成を助けるため、細胞のターンオーバーに必要不可欠な栄養素として知られています。そして、先述した通り味覚障害は、味を感知する器官である味蕾の減少によって引き起こされるため、ビタミンB12を摂取することで味蕾の新陳代謝を促進することが非常に効果的なのです。
4. 皮膚・髪の毛・爪の健康を保つ|亜鉛+ビオチン(+たんぱく質)
皮膚、髪の毛、そして爪といった組織を作るために必要不可欠な成分が、ビオチンです。ビオチンは、コラーゲンの生成に密接に関与しており、皮膚や髪の毛といった組織の生成にかかせない成分です。
注意点として、ビオチンを生卵と一緒に摂取するのは控えたほうが良いでしょう。卵白中に含まれているアビジンは、ビオチンと結合することで吸収を阻害してしまうため、せっかく摂取したビオチンが吸収できなくなってしまいます。
商品としては、こちらがオススメです。
21st Century, ビオチン、10,000 mcg、120錠 - iHerb.com
こちらには、1錠あたり10,000μg(10mg)のビオチンが含まれています。
日本国内でサプリメントを製造・販売する場合、1錠にビオチンを500μg以上添加してはいけないことが義務付けられています。一方、こちらは10,000μgも配合されていますから、規定量の20倍ものビオチンが含まれているのです。
これだけ大量に摂取して副作用等はないのかと心配になる方もいらっしゃると思うのですが、ビオチンの過剰摂取による副作用はほとんど報告されていません。また、アトピーに対する民間療法として知られているビオチン療法でも、大量のビオチンを摂取することを推奨していますので、積極的に摂取してよいでしょう。
また、コラーゲンのもととなるたんぱく質も不足しないように心がけましょう。亜鉛、ビオチン、そしてたんぱく質を正しく摂取して、綺麗な爪、髪の毛、皮膚を目指しましょう。
5. 免疫力を高める|亜鉛+ビタミンC(+ピクノジェノール)
免疫力を高めるために亜鉛と一緒に飲みたいサプリメントは、ビタミンC。物質名はアスコルビン酸です。
もともとは壊血病予防のためのビタミンとして知られるようになりましたが、その後その強い抗酸化作用により風邪の予防や健康・美容のために用いられるようになり、現在では安価で効果の高いサプリメントとして高い人気を誇っています。ノーベル賞を2度受賞し、現在のサプリメント文化の火付け役となったライナス・ポーリング博士も、生前は「ビタミンCの大量摂取によってあらゆる疾病を治療できる」という仮説を唱えていました。
そんなビタミンCですが、デメリットとしては摂取してから2〜3時間程度で腎臓でろ過されて尿中に入ってしまい、効果を発揮する時間が短いことがあげられます。それを回避するために出てきたのが、タイムリリース加工を施したものです。
21st Century, C-1000, 持続放出, 110錠 - iHerb.com
こちらであれば、ビタミンC1000mgがゆっくりと時間を掛けて放出されます。ビタミンCはコラーゲンの生成にも深く関与しており、美容目的の方にも強くおすすめできるサプリメントです。
また、亜鉛とビタミンCに追加するのであれば、ピクノジェノールが良いでしょう。ピクノジェノールは、フランスの海岸で採取された松の樹皮から抽出したエキスのことです。ピクノジェノールに関しては、亜鉛とビタミンCと一緒に摂取することによって、風邪の諸症状を抑えるという臨床研究があります。
商品としては、こちらが良いでしょう。
Healthy Origins, ピクノジェノール100 mg, 60ベジカプセル - iHerb.com